お施餓鬼で必要になる紙は、大きく分けて2種類です。餓鬼を供養するために掲げる「施餓鬼旗(施食幡)」用の染紙と、お寺へのお布施を包む「奉書紙」。この2つを押さえておけば、まず困ることはありません。
以下、それぞれの選び方と、間違えやすいポイントを実務目線でまとめました。
施餓鬼旗(施餓鬼幡)とは
施餓鬼会(せがきえ)やお盆での法要の際に、寺院内を装飾したり、五色(青・黄・赤・白・黒/紫)の紙の旗のことです。地域によって「盆旗」「五色旗」とも呼ばれています。寺院の境内や屋外に掲げる大きなのぼり旗と、檀信徒にお配りしてお墓や仏壇に供える小さな旗があります。
五色の意味
施餓鬼旗の五色は、単なる飾りではありません。由来をたどると、古代中国の陰陽五行説——万物を木・火・土・金・水の5要素で捉える思想と仏教の解釈が重なったものだと言われています。
弊社の染紙にも、色ごとに対応する方角を記載しています。赤は南、黄は中央、緑(青)は東、紫は北、白は西——という具合です。これは陰陽五行説における「木・火・土・金・水」と方角の結びつきが、そのまま反映されたものです。
仏教としての解釈では、五色それぞれが仏陀の身体や教えを表すとも言われます。青は乱れぬ心の強さ、黄は揺るぎない豊かさ、赤は尽きることのない慈悲、白は煩悩を清める清らかさ、紫(黒)はどんな迫害にも耐える忍耐——というように、色ごとに意味が割り当てられているのです。
お寺によって配色の並びが微妙に異なるのも特徴で、これは陰陽五行説そのものの解釈に地域差があるためだと考えられています。「色に意味がある」と知ってから施餓鬼旗を見ると、ただの紙ではなく、ひとつひとつに祈りが込められた道具として見えてきます。
施餓鬼用紙、2種類の違い
紙や平山では、用途に応じて2種類の施餓鬼用紙をご用意しています。
御施餓鬼幡用 染紙(半紙タイプ)
半紙に各色染めた、非常に薄い紙です。一般的に御施餓鬼幡用紙として使われてきた、昔ながらのタイプです。サイズは平紙判243×334mm、50枚入り、赤・黄・緑・紫・青・白の6色展開。断裁も承っています(別途料金)。
両面染色紙(薄手タイプ)
薄手でパリパリとした質感の色紙で、薄手の折り紙に近い雰囲気です。半紙タイプより発色が鮮やかで、サイズも355mm×260mmと若干大きめ。加工がしやすいので、旗の形に折ったり組んだりする作業に向いています。赤・黄・緑・紫・青の5色展開で、白については半紙タイプでの代用をお願いしています。1色50枚入りです。
昔ながらの薄い半紙で用意したい方は染紙タイプ、発色よく加工のしやすさを重視される方は両面染色紙——というように、目的に合わせてお選びいただけます。
お布施を包む紙——奉書紙
法要当日にお寺へお渡しするお布施は、正式には奉書紙という和紙に包みます。奉書紙が手元にない場合は白無地の封筒でも構いませんが、お寺様へお渡しするものですので、奉書紙をご用意されるとより丁寧な印象になります。
表書きは「御布施」「お布施」とし、水引は基本的に不要です。この点は慶弔の袋とは違うところなので、迷われる方が多い部分です。
卒塔婆(塔婆)は紙ではなく、木の板です
お施餓鬼と合わせてよく耳にする「卒塔婆」ですが、こちらは紙ではなく木の板で、お寺に依頼して用意していただくものです。紙の一式とは別に、御塔婆料としてお布施とは別立てで包むのが通例です。紙屋としてご用意できるのは、あくまで施餓鬼旗用の染紙と、お布施を包む奉書紙の部分になります。
個人でのご依頼と、寺院様からのまとめてのご依頼、何が違う?
檀家様お一人お一人が個別に用意される場合と、寺院様が檀家様全員分をまとめて発注される場合とでは、必要な枚数の桁が変わります。まとめてご依頼いただく場合は、事前に法要の日取りと想定される参列者数をお知らせいただけると、余裕を持ってご用意できます。
紙や平山でお選びいただく理由
紙や平山は明治28年創業、130年にわたり浅草で紙と向き合ってきた専門店です。神社仏閣への納品実績も多く、施餓鬼用紙も昔ながらの半紙タイプと、加工のしやすい両面染色紙の両方をご用意しているので、法要の規模やお好みに合わせてお選びいただけます。断裁のご相談も承っておりますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。
よくあるご質問
Q. 施餓鬼旗は自分で切って作るものですか?
A. はい、多くの場合、紙のみをお求めいただき、旗の形への断裁や文言の記入はお客様(またはお寺様)が行います。紙や平山では断裁のご相談も承っています。
Q. 施餓鬼用紙は何色を選べばいいですか?
A. 昔ながらの薄い半紙タイプ(御施餓鬼幡用 染紙)は6色、発色重視で加工しやすい両面染色紙は5色(白は半紙タイプで代用)でご用意しています。地域やお寺様のご指定がある場合は、そちらに合わせてお選びください。
Q. 浄土真宗でもお施餓鬼を行いますか?
A. 浄土真宗では基本的に施餓鬼を行いません。亡くなった方はすぐに極楽浄土へ往生するという教義のため、餓鬼や無縁仏への供養という考え方自体がないためです。ご自身の宗派が分からない場合は、菩提寺様に確認されると確実です。
